滑り止めの“すべり110番.com”
社会現象となった「滑り事故」—その原因について各方面にて研究されていますが、未だ科学的な根拠に基づく「滑り危険度」の数値(滑り抵抗値・摩擦抵抗係数)には統一されたものがありません。これは、世界的に見ても意見が分かれているためです。
よくあるスリップとは「走っている車が急に制御不能になる」という現象と「凍結路において車が発進できない」という現象に大別できるそうです。
これを人間の歩行に当てはめてみると「踏み込み足で滑る」か「蹴り足で滑る」かの違いになるということだそうです。
つまりは、動こうとする物体と止まろうとする物体とでは必要な摩擦抵抗の基準が違うということなのです。また、床面だけの問題ではなく、その物体の速度・質量・接地面積・進入角度・乾湿状態等により大きく左右されるため、計測方法を統一するのは困難であるといわれています。
ここでは、誰でも出来る危険度測定方法と、現在、一般によく行われている測定機器による測定方法をご紹介いたします。
◆誰にでも出来る「お手軽危険度測定法」
後述している測定機器による計測は、依頼するだけでもかなりの費用がかかってしまいますので、一般の方にはなかなか縁のないものでしょう。
では、調べる方法がない?いやいや、あきらめないで下さい。ここで簡単に出来る方法をお教えいたします。
簡単でお手軽な方法ですが、大体の目安としては充分使えます。
まずは一度お試しを。滑りやすく危険なところが意外と多いことに気付かれると思います。(BPN40以下は滑りやすく、床材として不適正といわれています。)
①手の親指をなるべく強く床面に押しつけて下さい。
②親指を前方に(スロープであれば下方に)軽く滑らせて下さい。
③爪の間が少し痛くなればおよそBPN40(東京都街づくり基準滑り抵抗値)程度です。
④乾燥状態と湿潤状態で比べてみて下さい。


◎滑り抵抗値の目安(いずれも未使用製品の場合)
インター
ロッキング
テラゾー
(人造大理石)
磁器タイル 天然石
(粗面加工)
乾燥状態 60〜65 20〜25 50〜55 90〜95
湿潤状態 45〜55 5〜15 15〜20 10〜15
                           ※表内の数値はすべてBPN値
◆測定機器を使った危険度測定方法

◎振り子式滑り抵抗測定法(試験基準 ASTM(※)E303)
(※)ASTM:アメリカ材料試験協会・様々な試験方式の基準を作成している機関
            
英国の道路研究所で、主に車道表面の滑り抵抗を測定する目的で開発されたものです。
振り子の先に取り付けられたゴム製のスライダーを反復運動させて、測定面と接触し滑り抜ける時に生じる抵抗を目盛りで読み取ります。
現在、旧日本道路公団・日本道路協会・東京都
(注)などが採用している測定方法で、屋外における調査では最も普及している方法といえます。(一般にアスファルト舗装の滑り抵抗を測定するのに用いられ、動摩擦係数を計測しています。)
測定には英国式振り子試験機(British Portable Skid Resistance Tester)が使用され、BPNという数値で表現されます。

◎斜め引張形滑り抵抗測定法
            

主に建築構造物の床面を測定するために開発されたものです。
乾燥状態と湿潤状態でのすべり方の違いをほぼ人間の実感値に近い感覚で数値化できるという特徴があるといわれています。
測定方法は、床面と接触する面積が56㎠のすべり片に、80㎏の荷重をかけて斜めに上に引っ張り、滑り抵抗値を測定します(O-Y・PSM測定器)。
測定にはO-Y・PSM測定機や携帯式のONO・PPSM測定器が使われCSR(ONO・PPSM測定器の場合はCSR')という単位で計測されます。
様々な条件によって異なりますが、通常
0.45〜0.90CSRが安全といわれています。

(注)東京都では、近年の滑り事故の多さを受け、福祉のまちづくり条例の中で「床材として妥当な滑り抵抗値」が遵守義務として定められ『安全範囲CSR値0.45〜0.90と示されています。

◎回転式滑り抵抗測定法
        
           計測器部        コントローラー部
靴に使われるゴム(テストピース)などを取り付けた円盤状の計測器をモーターで回転させ、床面に加重してその時に生じる摩擦抵抗をコントローラーに伝え表示させます。
動摩擦係数が計れ、警察の事故分析や科学調査にも使用されることがあるそうです。
測定には回転式滑り抵抗値測定器(DFテスター)が使用され、μ(ミュー)という数値で表現されます。



◎バネ量り式滑り抵抗測定法(試験基準 ASTM F609-96)
              
バネ量りのようなメーターが付いた金属製ブロックを、一定の力で牽引して、ブロックが滑動した時の数値を摩擦抵抗値として計測します。床との接地面にテストピースを取り付けて使用します。
「静から動」への抵抗値を計るといわれており、アメリカではこの測定方法が広く採用されています。訴訟大国であるアメリカでは、滑り事故の判例も多くあるため、その分対策も進んでいるといえます。
測定にはASメーター(国産のものもありますが、ほとんどがアメリカ製です)が使用され、COFという数値で表現されます。
UL(アメリカ安全規格)やOSHA(アメリカ労働省安全保険局)等では、この試験方法で、湿潤時
0.50COF以上、歩行用スロープ等では0.60COF以上が安全基準とされています。



◎傾倒(押し倒し)式静摩擦係数測定法
              
測定器本体のステップに足を乗せ、ハンドルを倒して測定板が滑動した時のハンドルの角度から滑り抵抗を計測する方式です。
この方式は、東北大学大学院工学研究科等により研究され、測定にはトリラボスリップメータを使用します。計測値はμ(ミュー)という数値で表現され、静摩擦係数を測定しています。

このほかにも様々な評価方法がありますが、現在の日本では、建築基準法等の法律上では基準値や統一された単位はなく、規制も設けられていません。条例やハートビル法等でも「粗面もしくは滑りにくい床材を用いること」とのみ記載されており、数値を限定していないのが実情です。(東京都福祉のまちづくり条例等を除く)
また、現行の法令が努力義務程度の規制にとどまり、義務化されてないことも大きな問題です。
ですから、タイルメーカー等が販売している「滑りにくいタイル」にも一定の基準が無く、そのほとんどが感覚値や自社比であったり、単に凹凸があるだけというのが現状で、実際の防滑効果は必ずしも高いとはいえません。(もちろん、防滑効果の高い商品も販売されています)
さらにいえば、床材の経年劣化に対する検査義務もないため、摩耗や風化により滑りやすくなった床材が街の各所に放置されているという問題もあります。
確かに、滑りの問題は、単に床材だけの問題ではなく、移動スピードや履いている靴等にも左右される複雑なもので、基準を統一するのは難しいといわれています。しかし、難しいから整備しないということでは、いつまでたっても転倒事故を減らすことはできないでしょう。
一日も早く、全ての床材に対して、誰もが安心して歩ける「滑りの基準」の整備が待ち望まれます。
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